生きるの楽しい

生きるのが楽しい

ヒプステの脚本がすげ~~~~最適解だった話


みんな!! ヒプノシスマイクルールザステージはもう観た!?!? まだ!?!?
公式動画は観た!?!? まだ迷ってる!?

1分04秒の動画ではまだ判断できない!?

最高だったよな!?!? 何を迷ってる!?!?

 

脚本!?!?!?!?
構成!?!?!?!?!?


すげ~~~~~~~~良かったよ!!!!!!!!


いや、より正確に言うと、


すげ~~~~~~~~~最適解だったよ!!!!!!!

 

勿体ぶるな?もうネタバレ気にしないから詳細な情報が欲しい!?

推理小説では犯人を知ってから読みたい!? オッケー!!!

 

今からクソ舞台ソムリエが、ごくごく個人的な脚本に対する感想を全力でネタバレするので、少しでも「行くかどうか迷う~~!」という方の参考になれば嬉しいです。
クソ舞台ソムリエというのは2.5もオリジナルも問わずあまりにもクソ舞台を踏み続ける私にこの前友人から贈られた称号。つらいな。

 

なお、極力ネタバレを排除した、「こういう人にはオススメだけどこういう人にはオススメしません」っていう日記もこの前書いたので、ネタバレお嫌でしたらそちらご参考下さい。


って言っても、記憶がかなり光に飲み込まれています
思い出そうとしても、「推しが眩しい光に包まれていた」「よく覚えていないが幸福な気持ちだった」「台詞?エモかったことしか分からん」という部分が多いです。
実際見てみたら違うんですけど!?ってこともあると思います。

今のうちに言っておきます。気が狂ったオタクの言うことなんて信じるな!!


さて、脚本を好き勝手に語るに当たって、私の立ち位置というか、

ヒプマイくんとの付き合い方について最初にお断りしておきます。

 

ヒプマイくん原曲→スパダリ彼氏。
ヒプマイくんドラパ→抜けた所もあるほっとけない彼氏。

コミカライズ→DV彼氏。

 

以上です。

 

この時点で、自分とお付き合いの仕方が違うな~!?って思われた方は、脚本に対する捉え方がそもそも違う可能性が高いです。全然参考にならんと思う。
当方、舞台の専門家でも無ければ文筆家でもなく、深い考察とかするわけでもない、スーパーライトなファンです。か~んべん!

 


ではでは、脚本が何故「最適解」なのか? その話をする前に、舞台オリジナルキャラクター『アカバネディビジョン』について語ります。


まず基本となるストーリーですが、もうね、超簡単。めっちゃ明確だった。

あのブクロVSハマ(WARWARWAR)の試合の前には、もう一つ、因縁の試合があった。

ブクロVSアカバネ

アカバネディビジョンのメンバーとブクロの因縁とは?
ヨコハマディビジョンとの関係は?
各々が己の信念のために動く中、果たして勝負はどうなるのか━━━━!?


ブクロが勝つよ。


そりゃあブクロが勝つよ。勝たなきゃしょうがねえ。
だから、ストーリーに関しては、どんでん返しも無ければ、アッと驚く展開もない。
最高の予定調和。必ず最後に愛は勝つってくらい予定調和です

だからこそ、ストーリーの焦点は皆が気になっていたアカバネディビジョンの存在です。

今回の舞台は、このアカバネディビジョンをどう受け止めるかが、楽しめるかどうかのキーポイントだと思います。


ここでアカバネディビジョンのメンバーを紹介するぜ!!


リーダーのカズ!!10年前に別の街に引っ越してしまった一郎の幼馴染だ!!

 

いや待って、10年前ってヒプノシスマイクの世界において未知の領域なんですけど!?!?!?!

 

もうね、10年前って聞いた瞬間に目見開いてしまった。

10年?私の作ってたヒプマイ年表5年しかないのに?

H歴になってから2年しか経っていない世界で、10年前って、

もう体感的には平安時代でしょ。
ジャンル古文竹取物語と同じ。日本で最初。恐らく公式で出てるどの情報より過去。

 

10年前って、WWⅢ真っ最中?それよりも前?平成?この世界の平成っていつ?夢幻先生令和まで歌ってたけどアレ皆どう受け止めてる?
そもそも一郎の10年前ってその時もう三人とも施設?両親は?両親そもそもいるの?ていうかブクロにいたの?

 

何も分からねえ。これが俺達のヒプノシスマイク!!!!!

 

ここが受け止められなかったらもうヒプステ、絶対観ない方が良い。だってこれ、カズが10年前に一郎と幼馴染だったことを受け止めないとどうしようもないもん。

 

「OK、何も分からないが10年前に一郎とこのカズって奴は幼馴染だったんだな」

 

そう思えたら大丈夫。っていうかヒプマイくんって基本的にそのスタンスで受け止めるしかねーんだ。俺はそう学んだ。コミカライズでな。


次のメンバーを紹介するぜ!


続いてコクリリョーザン!!以前左馬刻にぶちのめされて恨みを抱いてるぜ!!

カズと比べて凄いスムーズに受け止められました(私は)。左馬刻にぶちのめされてる人類概算10万人くらいいそうだし全然ある。


最後にサラギケンエイ!!元軍属でヒプノシスマイクの開発に関わっていた男だ!!

お前も受け止めやすいな!!絶対そういう男はいるもんな!でも個人的に漢字、四十物よりも読めなかったぜ!!


さて、この時点でもう察せますが、今回の舞台、カズと一郎の話と言っても過言では無い。

 

ブクロVSアカバネ

アカバネディビジョンのメンバーとブクロの因縁とは?

 

とか勿体ぶって言ったけど、実際これはカズと一郎の因縁です。
二郎三郎、カズのこと知らないし。まあ10年前って当時5歳と7歳だし……

 

というかだから、その時この三兄弟がどうだったかなんてマジで分からないんだよ。マジで。一郎と左馬刻の因縁すら分からないのに平安時代(体感)のことなんて分かるかよ!!!!
(コミカライズに出てきた5年前の3人が、既に施設に入っていたというのが私の把握してるブクロ最過去なのですが見落としてたらすまねえ)


ではヨコハマディビジョンとの関係は?
これは2番手のコクリリョーザンとサマトキですが、正直かなり薄いです。
左馬刻からすれば10万人ぶちのめしたうちの一人だから……(幻覚)
後は3番手のサラギケンエイが元軍属というので、理鶯との間接的な絡みがあります。

 

え、じゃあヨコハマは出番少ないの!?って思うじゃん?全然そんなことない。
出番はマジでほぼ均等(体感)です。

 

そしてこの均等というのは、アカバネディビジョンを含めての均等です。
ブクロハマアカバネ全てが均等です。
これに関しては……意見は別れるのだと思います。私は超OKでした。

 

何故かというと、ブクロハマに対するリスペクトと同様に、

アカバネという、この舞台のために生まれた存在に対するリスペクトを感じたからです。


また、これ後ほど語りたいんですが、
アカバネディビジョンをしっかりと描ききらないと、ヒプステ、それこそマジでクソ舞台になりかねない。
そういう凄い綱渡りの上に出来上がった脚本だと感じました。

 

まあ、カズに注力しすぎて、コクリくんとサラギさんは薄いんですが、まあ、カズと同じ熱量注ぐとそれこそアカバネ100%になっちゃうから仕方無い面はある!!バランスって難しいね!!

 

脚本ネタバレって言っても、実は大枠これくらいしか話すことないんですよね。

そうですね。一郎がカズと二人で花火打ち上げたり、左馬刻が理鶯の料理回避のために日替わりで色んな場所が痛くなったり、二郎三郎がゲームしたり、銃兎と理鶯がデュエットしたりします。
見て。

 

でもね~~あとぶっちゃけるとね~~アカバネの3人、

マジで全員滅茶苦茶上手いんですよ。ラップもダンスも。

 

私、歌とかダンス上手いとそれだけで好きになっちゃう、そういうオタクなんです。チョttッロイ。チョtttttttttロイ。
特にカズ。ヤバイ。すげ~~~~~~~上手い。声の伸び方が違う。歌手の歌い方。
演技も違和感無くて、え?舞台経験そんなに無いのマジで?って思った。
だから出番が多くても「よっしゃ!上手い歌が聞けるで!」「よっしゃ!格好良いダンスが見れるで!」って感じだったので、私はノーストレスでした。


逆に言うと、ブクハマが見られれば歌や踊りは多少難アリでもOKだけど、ブクハマ以外は観たくない!って人には辛いんじゃないかな。

 

ということでアカバネディビジョン、良かったです!!!
理論的にはスーザンボイル女史と同じです。実力があるってそれだけで凄いんだよ!!!!!!


さて、アカバネをさらっと触れた所で、今回の本題。脚本を何故「最適解」と称したか。

ここから真面目な話になります。ビックリマークも減ります。

 


そもそも最高の舞台の脚本って何でしょう?

 

好みは人それぞれです。私が最高だと断言するRENTは、エイズに苦しむ人たちという社会問題に触れながら、本当に美しい人間の愛を描ききっていました。
或いは、ジェンダー問題に触れながら圧倒的な力強さを見せたキンキーブーツ、蜘蛛女のキス? 或いはフランス革命に命を燃やしたレ・ミゼラブル
女性犯罪者を描いたChicago? それとも文学性でしょうか? 川端康成の表現力のような? 坂口安吾のようなファルス観?

 

ヒプステくんが「最高の脚本か?」って聞かれたら、私は首を横に振ります。
何故なら私は「舞台として」最高の脚本を他に知っているからです。「ストーリー性」として最高の文学を他に知っているからです。

 

でも、「舞台ヒプノシスマイクの脚本は最高だったか?」って聞かれたら、

私は全力で頷きます。

 

それは、ヒプノシスマイクという作品は舞台化するに当たってあまりにも制限が多いからです。
私は過去のブログで「ヒプステには、原作に対するリスペクトがあった」と書きましたが、そう感じた理由はここです。

2.5次元舞台として、有り得ないくらいの制限の中でヒプステのストーリーは存在しています。


①「ここはとある本丸」理論が使えない

刀剣乱舞を通ってきている方ならこの言葉で分かると思うのですが、パラレルワールドというのは最強のジョーカーです。
「これは君の本丸の話」「これは貴方の本丸の話」「これは私の本丸の話」。そういう風に世界を分断できます。
勿論大元の設定は守らなくちゃいけませんが、それでも自由度はかなり高い。
刀ミュと刀ステは同じ設定じゃなくていい。花丸でミュージカルしてもいい。
そのことに対して、違和感もありません。だって別の世界なのだもの。別の世界があって当然です。

だけどヒプノシスマイクは違います。

曲もドラマCDもコミカライズも、全て一つの世界の物語です。
一つの世界の切り取り方が違うだけ。だからそこに矛盾があってはいけません。
視点による勘違いは許容されても、矛盾は通らない。
これが第一の制限です。
現在展開されているストーリーに対して、「矛盾出来ない」
でもこれだけなら、まあまだ全然良いんです。ただし問題は次。

 

 

②公式で全然設定が明かされてない。

 

矛盾できないのに!?!?!?!?!

 

矛盾できない、設定を守らなきゃいけない、なのにそのルールがブラインド。見せてくれよ。ランブロか?


2年間でどうやって中王区は現体制まで持ち込んだのか?
ディビジョンはどこまでどう分かれてるの?戦争してたなら街は?物流は?諸外国との国交は?貿易は?
中王に入れなかった女性はどういう基準?
二年前までラップなんて触れてなかった筈の人たちが当然のようにラップ出来るのは何故?
そもそもマイク無料配布みたいなのしてたけど今じゃマイク配られてないみたい?
スピーカーが具体的にどういう効果があってどう作用するのか?
そもそもキャラクターの性格すら私たちは本当に理解できているのか?


分からないことが多すぎる!!

 

私は世界の隅っこで妄想を吐き散らかしているだけの人間ですが、初めてマイクの小説を書こう!と思った時に、「高速道路って存在してるのか……?」(戦後日本がどうなってるのか、4ディビ以外沈没してたりしないのか、存在したとして人が存在しているのか等当時はマジで分からなかった)となって一文字も書けず途方に暮れたことをまだ覚えてます。

 

物語を一本作るって、その世界の状況をきちんと定義しないと、マジで車に乗せることすら困難になってしまう。
だけどヒプマイくんはそこがまだ全然明らかになってない状態なんです。
勿論我々ファンとは違って制作サイドですから、ある程度、裏資料など共有はあるのでしょう。でもね、マジでここがまた問題なんです。

 


③原作音源で明かされていない設定を無闇に使えない。

 

設定明かされてないのに!?!?!?!?

 

これは正直、ファン心理への配慮だと思います。

原作の曲やドラパで明らかになっていない重大設定を舞台で明らかにするのはあまりにもリスキー。
極論、一郎と左馬刻の因縁、舞台で明かしたら流石に原作でやれってなるでしょ。
或いは理鶯と銃兎の詳細な出会いシーンとか、二郎三郎の出生とか、そういう重要な設定、舞台が初出になったら流石にちょっとなあって、思う人は多いと思います。
そして極めつけにこれ。

 


④原作ストーリーをそのままなぞれない。

 

新しい設定出せないのに!?!?!?

 

いや、原作ストーリーなぞればええやんけ!?って気持ちは勿論ある。どうしてそうしなかったのか、一ファンの私には勿論分からん。
諸処の権利関係か、ネルケ側の提案か、或いは公式が新しい試みをしたいと思ったのか、何を考えても邪推です。
ただ脚本は、オリジナルストーリーで依頼されたという事実だけがここにある。

 


以上、四つの制限を振り返りましょう。

①原作設定に矛盾はできないが
②原作で設定はほとんど明かされておらず
③新しい設定を付け加えることも開示することもできず
④全く新しいストーリーを作らないといけない。

 


無理じゃない?????????

 


無理でしょこんなの。いや無理無理。

この制限を踏まえた上で、整合性のある無理の無いストーリーでキャラクター全て誰ひとり貶めることなく、見せ場を作り、均等な出番を用意するなんて、そんなの

 

 

無理じゃなかった。

それが舞台ヒプノシスマイク。

 


凄くない?????? 凄いんですよ。

凄いんです!!!!!神感謝!!!!!!!!!

 


何せこれらの条件を踏まえて見ると、本当に今回のヒプステの舞台は、

 

「公式で出ている情報だけを最大限に使い切ってキャラクターを描く」ことに特化してるんです。

 

一郎が「でもとかだってとかカマくせえこと言ってんじゃねえ」というの、完全に原作ドラパから。

 

二郎と三郎が、アカバネディビジョンのチームを調査するシーン。
友達に聞きまくる二郎と、ネット等を駆使する三郎。これは完全にドラパで一郎から与えられたミッションをこなす姿と一緒です。

 

左馬刻が一郎の名前を出されるとすぐにキレる所は勿論。
「一郎が負けたら左馬刻に八つ当たりされる」と考える入間銃兎は、敗北した後のドラパで左馬刻に八つ当たりされると思い込んでる姿に重なります。
理鶯のサバイバルクッキングはサバイバルクッキングなのでサバイバルクッキング。

 

ここに挙げたのは一例ですが、舞台ヒプステは随所にこういうシーンが散りばめられているんです。

 

あれだけの制限がある中で、全く新しいストーリーを作りながら、信じられないほど忠実に原作の設定を守ってくれる。

 

これ、一歩間違えば「ただの原作の焼き直し」です。原作でやったことをまたやってるだけでしょ?って。


だからアカバネディビジョンだったんだと思います。


アカバネディビジョンが生まれたのは必然だったと思います。極論、新しいキャラクターなら設定は自由なので、物語を動かすこともできる。

かつて左馬刻に潰されたチームの男とか、理鶯の所属していた軍の男とか、原作で既に明かされている設定以上のことを加えないでキャラクターに色付けできているのは、きちんと原作に向き合っているからこそではないでしょうか。

 

ちゃんとヒプノシスマイクの世界で、生きて悩んで苦しんで信念を持っているアカバネを描いたから、
このヒプステは「原作の焼き直し」じゃなくて「舞台ヒプノシスマイク」になった。

 

無味乾燥な、どうでもいいモブみたいな敵だったら、きっと私はブクロとハマのことしか考えなくって、
原作で見たブクハマの姿だな~で終わってたと思います。

 

でも舞台を見終わって、私はアカバネディビジョンのこと大好きになりました。
武力の代わりにマイクが力を持った世界で、
マイクの力に溺れる男、マイクの力に魅了された男、マイクの力に人生を滅茶苦茶にされた男。
ちゃんとそれぞれの人生がありました。それぞれの人生があって、理由があって、戦ってたんです。
そういう男達と向き合って戦った、ブクロとハマがそこにいたんです。

 

アカバネが生き生きとしていたから、それと向き合うブクハマも「焼き直し」じゃなく生き生きしてたんです。


繰り返しますが、そもそもアカバネの存在自体が既に無理な場合、絶対に観ない方がいい。
脚本が設定を守っているか心配な人、マジに大丈夫。超オススメ。
脚本にストーリー性や文学性を求めている人、正直迷う。多分劇団四季ジーザスクライストスーパースター観るのが良いと思う。

キャラクター解釈で迷ってる!っていう方、参考になるか分かりませんが、私の超個人的なキャラ感想は次のブログで書きました。

 


私は、ヒプステを最高の脚本だとは言いません。
何故なら私は「舞台として」最高の脚本を他に知っているからです。「ストーリー性」として最高の文学を他に知っているからです。

 

でも、「舞台ヒプノシスマイクの脚本は最高だったか?」って聞かれたら、

私は全力で頷きます。


沢山の制限がある中で、ありったけ原作を大事にしてくれて、キャラクターを魅力的に描いてくれたヒプステに、世界の隅っこの一ファンからありったけの感謝を!!

 


みんな!!

舞台ヒプノシスマイクは最高だぞ!!!!!!!!

 (千秋楽は今週の日曜19時ニコ生もライビュもあるぞ!!)